一人で管理する
私が入所するまでは、国内・外内案件は、出願~登録~年金管理まで7人の事務担当がそれぞれで行っていました。
私が入所した頃は事務所の規模が拡大し業務の細分化を進めている最中で、その一つとして国内年金管理のみ切り離し、全案件をまとめて1人で管理するという体制に変わり、私がそれを担当することになりました。
ここでは「十人十色」だった年金管理を、しかも「特許事務未経験」だった私が1人で管理するために行ったやり方の詳細を公開します。

効率化することになった理由
負担を軽くする
私が16年勤務した特許事務所に入所した時、年々顧客が増えていることで弁理士の人数も増え、その結果事務担当一人当たりの負担が大きくなっていたので、その負担を軽くするために業務内容の見直しが行われていました。
これが効率化を図った一つ目の理由です。
その中で国内年金管理業務を各事務担当から切り離し、一括して1人が実務作業をする(※)という業務形態へ変更することになり、私がその担当となりました。
(※)実際にはリスク管理として、顧客への期限通知や請求書発行など実務作業をするのは1人でしたが、期限管理のみ担当する方と2人一組での業務形態でした。

もしかしたら50~100人規模の事務所では、業務の細分化というのはスタンダードかもしれません。
企業の知財部でも出願~登録までの担当者と年金管理段階では、担当者が変わるケースも多く見られます。
私がやり始める前までは6~7人の弁理士に対して、事務担当は国内出願・外国出願合わせて20人ほど。そのうち国内事務は7人ほどで、その7人がそれぞれ自分の担当する案件の出願~登録・年金管理を行っていました。
大手の顧客からは送付状の形式や請求の仕方など多くの要望があり、その対応でも事務の負担が増えていたというのがその時の状況でした。
顧客満足度を上げる
出願~登録・年金までを7人の事務担当がそれぞれで行っていたといっても、大まかな管理方法は事務所内で共通で、
1.特許事務所専用の期限管理システムからリスト出力(納付期限日の数か月前)
↓
2.それぞれの顧客に年金納付期限通知を送付(ワードで一枚ずつ作成)
↓
3.顧客から回答をもらったらインターネット出願ソフトでオンライン納付
↓
4.納付完了後に顧客へ請求書と共に納付報告書(ワードで一枚ずつ作成)を送付
といった流れです。
複雑な作業はないので、新人や特許事務未経験者でもやりやすい仕事だと思います。
ただ、複数名が行っていた作業のため、上述2の期限通知書や4の納付報告書など送付状の形式は、事務担当によってフォント(種類・サイズ)や網掛けの有無など見た目がバラバラでしたし、顧客情報(エクセルなど)や書類など、データの保管先も人それぞれでした(中には自分だけのノートに手書きで管理している人も・・・)。

備考欄一つ取っても、書く位置が違うと重複して書いてしまったり、書き忘れたりすることもありますので、送付状の形式を統一させることで、ミスを減らす、誰が見ても分かりやすく、顧客対応を迅速に行うことができるようになります。
当時事務所の代表弁理士が「数ある特許事務所の中からこの事務所を選んでもらうために差別化を図る」ということをよくおっしゃっていたのを記憶しています。
差別化の一つとして、料金ではなく、ミスなく迅速に対応する(顧客満足度を上げる)ために効率化を図る。
これが効率化を図った二つ目の理由です。
一人で管理することのメリット
年金管理の実務を1人でやることで
✓ 情報(データ)が一か所にまとまる
✓ ミスがなくなる
✓ ミスが起こったとしても見つけやすいし修正しやすい
✓ 顧客からの問い合わせにもすぐに対応できる
というメリットがあります。
情報(データ)が一か所にまとまる
複数名が携わっているとあちこちに情報(データ)が散らばってしまいがちです(自分のやりやすいようにやるのが人間なので)。
あちこちに散らばっていると、いざ情報を見ようと思っても探すのに時間がかかりますが、一ヶ所にまとまっていればすぐに見ることができます。
ミスがなくなる
事務所や顧客の方針・やり方が変わった場合、複数名が携わっているとその情報が行き渡らず、古い情報のまま作業を進めてしまうことがあります。
特に顧客からの要望にはミスなく応えたいものですね。
一人で担当するということは最新の情報で作業をすることができるため、ミスがなくなります。
顧客からの問い合わせにもすぐに対応できる
情報が一ヶ所にあり、最新の情報で作業をすることにより、顧客からの問い合わせにもすぐに対応できるようになります。
どの特許事務所でも(特許事務所に限らずどの企業でも)、管理すべきデータは一つにまとまっている方が望ましいのです。
あちらこちらにデータがあると「どの情報が正しいのか?」を常に考えることが必要になり、それは時間の無駄であり、ミスの元になってしまいます。

効率化の手順
実際に効率化を進めるにあたり、各事務担当から情報を収集して以下のものを新しく作成することにしました。
1.年金管理段階の顧客の担当者リスト
2.顧客ごとの年金管理に関する注意事項
3.作業工程チェックリスト
4.送付状の形式の統一化と差込印刷
5.書類の電子化

【特許事務のお役立ち実例集】国内年金管理の第2回目は、効率化の内容についてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。
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